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法定後見
プロローグ
既に判断能力が不十分な方が対象となります。
被後見人が財産侵害を受けたり、人間としての尊厳が損なわれたりすることがないように、
後見人が法律面や生活面で支援をします。
※以下、後見人・保佐人・補助人を併せて後見人等と言い、後見・保佐・補助を併せて後見等と言います。
法定後見制度が役立つシーン
① | 認知症の父が高額商品の営業を断れず買ったり、悪徳商法の被害にあってしまう。 |
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② | 認知症の父が所有する不動産を売却して父の老人ホーム入所の費用にあてたい。 |
③ | 老人ホームにいる父の年金を勝手に使ってしまう親族がいる。 |
④ | 寝たきりの父の面倒を見ているが、他の親族から父の財産管理について疑念を持たれている。 |
⑤ | 先に亡くなった父の相続について認知症の母が遺産分割協議に参加する必要がある。 |
後見人の支援内容
・上記①の場合、高額商品の売買契約等を後見人が取り消します。
・上記②の場合、後見人が被後見人を代理して不動産の売買契約を締結し、施設入所契約をします。
・上記③の場合、後見人が被後見人の全財産を管理します。
・上記④の場合、後見人は家庭裁判所の監督の下、被後見人の財産を管理します。
・上記⑤の場合、後見人が被後見人を代理して遺産分割協議を行います。ただし、親族が後見人であって、後見人自身も相続人である場合は、代理することはできません。
法定後見の類型
本人の判断能力に応じて、後見、保佐、補助の3つの類型があります。後見等の申立時に提出した医師の診断書(申立後に家庭裁判所の判断で医師による鑑定が行われる場合もあります。)を基に、家庭裁判所が、後見、保佐、補助の類型を判断します。同時に家庭裁判所はそれぞれの類型に応じて、後見人、保佐人、補助人を選任します。
※民法第13条第1項
① | 貸金の元本の返済を受けたり、預貯金の払戻しを受けたりすること。 |
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② | 金銭を借り入れたり、保証人になること。 |
③ | 不動産などの重要な財産について、売買すること。 |
④ | 民事訴訟で原告となる訴訟行為をすること。 |
⑤ | 贈与すること、和解・仲裁合意をすること。 |
⑥ | 相続の承認・放棄をしたり、遺産分割をすること。 |
⑦ | 贈与・遺贈を拒絶したり、不利な条件がついた贈与や遺贈を受けること。 |
⑧ | 新築・改築・増築や大修繕をすること。 |
⑨ | 一定の期間を超える賃貸借契約をすること。 |
申立から後見開始までの流れ
※申立てから審判までは、通常1~2か月の期間を要します。医師による鑑定が行われる場合はさらに3か月くらいかかる場合もあります。
申立てができる人
本人、配偶者、四親等内の親族です。四親等内の親族とは、両親、祖父母、子、孫、ひ孫、兄弟姉妹、甥、姪、おじ、おば、いとこ、配偶者の両親や兄弟姉妹などです。
後見類型の場合は本人の意思能力が不十分なので本人申立ては現実的ではありませんが、保佐類型の場合は本人申立ても多くあり、補助類型になると本人以外が申立てをする場合は本人の同意が必要です。
また、身寄りのない高齢者などで身近に申立人がいない場合は、市区町村長が申立人となることもあります。実際には、ご近所の方や、施設のスタッフの方などの申出により市区町村長が申立てを行います。
後見人等になれる人
後見等の申立てをする際に、後見人等候補者を指名することができます。候補者としては、申立人自身、親族の方、司法書士等の専門家を候補者にすることが可能です。ただし、家庭裁判所は面談などを経て後見人等を選任するので、候補者として指名した方が後見人等に選任されるとは限りません。近年の東京家庭裁判所では、専門家後見人の割合の方が多く、親族後見人の割合は少なくなっています。また、親族が後見人が選任される場合に、専門家が後見監督人等として選任されるケースも増えています。
また、次の方は後見人等になることができません。
未成年者、後見人等を過去に解任された方、破産者、本人に対して訴訟をしたことがある人およびその配偶者または親子。
申立てに必要となるもの
・申立書
・戸籍謄本(本人、後見人等候補者、申立人それぞれのもの)
・住民票(本人、後見人等候補者それぞれのもの)
・医師の診断書
・登記されていないことの証明書(本人のもの)
申立て時の費用
① | 本人負担(裁判所に支払うもの) ・申立手数料:800円 ※保佐、補助で代理権・同意権付与申立てをする場合は、さらにそれぞれ800円 ・登記手数料:2,600円 ・郵便切手:3,200円(後見)、4,100円(保佐、補助)※各家庭裁判所で異なります。 ・鑑定費用(鑑定が必要な場合にかかります。司法統計によると50,000円程度が多いようです。) |
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② | 申立人負担 ・申立書等作成の当事務所の報酬:130,000円(消費税別) |
後見人の主な職務
後見人は被後見人の全財産につき、下記のような包括的な代理権を有します。
① |
選任直後の職務
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② |
日々の職務(選任から終了まで)
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③ |
後見終了時の職務
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任意後見人ができないこと
・ | 手術への同意や延命治療の指定をすることはできません。 |
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・ | 後見人自身が介護を行ったり、旅行に同行したり、映画に一緒に行くなどの行為はできません。この場合は、ヘルパー等の契約をすることになります。 |
・ | 死後事務を行うことはできません。 ※死後事務についての詳細は、死後事務委任契約ページをご覧ください。 |
・ | 婚姻、離婚、養子縁組・離縁、認知、遺言などの身分行為はできません。 |
後見人等の報酬
後見人等への報酬は、家庭裁判所が報酬額を決定し、本人の財産から支払われます。後見人等から家庭裁判所に報酬付与の申立てをしないと後見人等に報酬は支払われません。下記は、司法書士等の専門家が後見人等に選任された場合の標準的な報酬です。親族が後見人等になった場合は、これを参考に減額されることがあります。
※上記以外に、後見等事務において、特別に困難な事情があった場合は、上記基本報酬額の50%の範囲内で付加報酬が加算されることがあります。
後見等の終了
本人の死亡、または、判断能力の回復による後見等取り消しの審判によってのみ、後見等事務は終了します。したがって、一度後見等開始の審判がなされると任意にそれをやめることはできません。
後見人等の解任や辞任によっても後見等は終了せず、新たに選任された後見人等に後見等事務は引き継がれます。