プロローグ

相続税や所得税の節税を目的として、それまで個人で所有していた不動産を資産管理法人に移管する投資家様も多くいらっしゃいます。

概要

相続税や所得税の節税対策として、本人の名義または子供の名義で資産管理法人を設立し、個人の資産をその法人に移管することがあります。多くの場合は、個人が法人に不動産を売却する形を取りますが、売買代金については、①法人が購入資金をローンで調達し個人に一括で支払う場合と②所有権移転時には売買代金を支払わず個人を貸主、法人を借主とする金銭消費貸借契約(準消費貸借契約)を同時に締結する場合が見られます。また、売買ではなく、個人が法人に不動産を現物出資することで不動産を移管し、個人は現金ではなく法人の株式または持分を取得する場合もあります。

売買による所有権移転

個人から法人に不動産を移管するケースとして、以下の2パターンが見られます。個人は不動産を手放す代わりに現金を取得するので、相続税対象財産は不動産から現金に代わることになります。その後、毎年110万円の贈与税の基礎控除枠や、教育資金や住宅取得資金等の特例を活用し、相続税対象財産である現金を圧縮していきます。

ただし、これら相続税対策は税理士を交えて行うべきでしょう。

① 法人が金融機関から購入資金の融資を受けて、個人に売買代金を一括支払いする場合

  • ア) この場合は、個人から法人へ売買を原因とする所有権移転登記を申請します。同時に、法人を債務者とする金融機関名義の抵当権(または根抵当権)を設定することになります。個人が金融機関から融資を受けて抵当権等を設定している場合は、売買代金をもって債務を弁済し、その抵当権等を抹消する登記も申請します。
  • イ) 登録免許税

② 個人から法人に所有権を移転する際に売買代金を支払わず、同時に個人を貸主、法人を借主とする金銭消費貸借契約(準消費貸借契約)を締結し、その後法人は個人に債務を返済していく場合

  • ア) この場合は、個人から法人へ売買を原因とする所有権移転登記を申請します。法人を債務者とする個人名義の抵当権(または根抵当権)は設定しないことがほとんどです。個人が金融機関から融資を受けて抵当権等を設定している場合は、自己資金をもって債務 を弁済し、その抵当権等を抹消するか、または、抵当権付きで所有権を移転します。ただし、抵当権付きで所有権を移転する場合は、抵当権者である金融機関の承諾が必要となる場合が多いと思います(既存抵当権者との抵当権設定契約書を確認する必要があります)。
  • イ) 登録免許税

現物出資による所有権移転

通常、法人に出資するときは金銭を出資することが多いと思いますが、不動産等の現物を出資することもできます。出資者は出資額に応じた株式(株式会社の場合)や持分(合同会社の場合)を取得します。これにより、個人の相続税対象財産は不動産から株式または持分となります。その後、株式等の評価を下げる等の相続税対策を行います。

ただし、これら相続税対策は税理士を交えて行うべきでしょう。

この場合、不動産については、現物出資を原因とする所有権移転登記を申請します。また、合同会社については、出資によって新たに社員として加入する者がいる場合は、社員の変更登記を申請します。さらに、出資によって資本金の額が増加する場合は資本金の額の変更登記を申請します。

ア) 不動産の登録免許税

イ) 法人の登録免許税

ウ) 不動産鑑定評価書

合同会社の場合は、会社法上では、現物出資の際の不動産鑑定士による鑑定評価書を求められていませんので、鑑定費用を削減できるとも言えますが、実際には、出資した不動産の評価額を巡って後日税務調査などのリスクとなる可能性もありますので、鑑定評価書作成を検討した方が良いと思います。

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