サンプルケース
既に共同相続登記がされている不動産について今回家庭裁判所の調停により遺産分割が成立し、その結果単独取得することとなった相続人Bが、遺産分割による持分移転の登記を単独で申請します。
登記に必要な書類
遺産分割調停による持分移転の登記
- ※所有権移転登記のみの必要書類を記載しています。
その他の登記がある場合は、その登記に応じて別途書類が必要になります。
遺産分割調停による持分移転の登記
相続財産につき共同相続登記がされた後に、家庭裁判所の審判又は調停により遺産分割が成立した場合には、遺産分割を登記原因として、遺産分割の結果持分の増加した者を登記権利者、持分の減少した者を登記義務者として共同申請により持分移転登記をするのが原則です。
ただし、家庭裁判所の審判又は調停は確定判決と同一の強い効力を有することから、遺産分割の審判書の主文又は調停調書の条項中に「登記条項」があれば、当該不動産を単独取得することとなった者は、その確定審判書又は調停調書の正本を添付し、単独で持分移転の登記の申請をすることができます。逆に、確定審判書又は調停調書に登記条項がない限り、単独申請は認めらず共同申請によることになります。
登記条項とは、遺産分割の審判書の主文又は調停調書にある下記の例のような条項のことをいいます。下記の例の「別紙遺産目録1記載の土地は、乙が取得する。」の条項ではなく、登記手続を直接命じている「丙及び丁は、乙に対し、別紙遺産目録1記載の土地につき、遺産分割を原因とする各自の持分全部移転登記手続をせよ。」の部分が登記条項になります。
登記条項を盛り込まないと、遺産分割の審判が確定又は調停が成立しても、登記義務者となる他の共有登記名義人が登記手続に協力しなければ、改めて登記手続を求める訴訟を提起しなければならない事態も考えられますので、下記の例のように、登記条項を審判書の主文又は調停調書の条項に入れることを検討すべきでしょう。なお、相続人間の通常の遺産分割協議については遺産分割協議による相続登記をご覧ください。