プロローグ

社員の加入や退社により社員に変更を生じた場合は、2週間以内に社員の変更登記を申請する必要があります。合同会社に新たな社員が加入したり、社員が退社した場合には、定款変更を伴うので、原則として総社員の同意が必要となります。

社員の持分

合同会社に出資して社員になると、その社員は合同会社の持分を取得します。また、出資以外の持分取得方法として、既存の社員の持分を譲り受ける方法があります。持分を譲り受けることで、譲受人は社員となります。

社員の加入

社員が加入する方法には、①出資をして新たに加入する方法、②出資をせず現社員から持分を譲り受けて加入する方法、③相続により持分を承継して加入する方法の3つがあります。

① 出資をして新たに加入する方法

ア) 手続きの流れ
イ) 資本金の額の増加

新社員による新たな出資があった場合、合同会社の資本金は、新たな出資金の額の範囲内で、業務執行社員が資本金として計上すると定めた額の分だけ増加します。この場合、資本金の変更登記が必要となります。

② 現社員から持分を譲り受けて加入する方法

ア) 手続きの流れ
イ) 資本金の額の増加

この場合には、新たな出資がありませんので、資本金の額の増減はありません。

③ 相続により持分を承継して加入する方法

定款に、相続等による持分承継の定めがある場合は、社員の死亡によりその社員の持分は相続人に承継されます。相続人は、総社員の同意を得ることなく、持分会社の社員となることができます。

一方、定款に相続等による持分承継の定めがない場合は、持分は承継されず、死亡した社員は死亡とともに退社することになります。この場合、相続人は、死亡した社員の退社に基づく持分払戻請求権を承継し、合同会社に対して持分の払戻しを請求することになります。資産管理法人の承継についての詳細は、資産管理法人の承継ページをご覧ください。

社員の退社

上述のように、持分を譲渡した社員は持分譲渡にともない退社することになり、その持分は新社員に引き継がれます。ここでは、持分譲渡による退社の場合ではなく、持分の払戻しを受けて退社する場合を説明します。持分の払戻しを受けて退社する場合は、その持分を承継し新たに社員となる者はおらず、その社員の地位は引き継がれることなく消滅します。持分の払戻しをするに際して、債権者保護手続きが必要となる場合があります。さらに、持分の払戻しに際して、会社の資本金の額を減少させることができますが、資本金の額を減少するためには債権者保護手続きが必要となります。

退社には任意退社と法定退社の2つがあります。

① 任意退社

ア) 予告退社

次のいずれかの場合には、社員は6か月前までに退社の予告をすることで、事業年度終了時に退社することができます。この場合、他の社員の同意は不要です。

  • ・定款に持分会社の存続期間の定めがない場合
  • ・ある社員の終身の間、合同会社が存続することを定款で定めている場合
イ) やむを得ない事由がある場合の退社

社員は、やむを得ない事由があるときは、いつでも退社できます。やむを得ない事由とは、設立当時に前提としていた状況が著しく変更となり、もはや当初の合意どおりに社員を続けることができなくなった場合などが該当します。

② 法定退社

社員は、次の場合などに退社します。ただし、定款で別途定めることによって、破産手続きの開始と後見開始を法定退社事由から除外することもできます。

  • ・定款で定めた事由が発生した場合
  • ・総社員の同意がある場合
  • ・死亡
  • ・破産手続きの開始
  • ・後見開始
  • ・除名(訴訟によって除名請求を行います)

③ 退社にともなう持分の払い戻し

退社した社員は、その持分の払戻しを金銭等にて受けることができます。ただし、持分払戻し額が払戻日における合同会社の剰余金を超える場合などは、次の債権者保護手続きが必要となります。剰余金を超えない場合は、債権者保護手続きは不要です。

④ 持分の払戻しに関する債権者保護手続き

社員の持分を払い戻すということは、合同会社の資産が減るということなので、払戻しにより合同会社の債権者を害する可能性があります。そこで、次の場合には、社員の退社にともなう持分の払戻しを行うために、債権者保護手続きが必要となります。

ア) 持分払戻し額が、払戻日における合同会社の剰余金を超える場合(ただし、合同会社の簿価純資産額は超えない場合に限る)

この場合、合同会社は、1か月以上の期間、次の事項を官報で公告し、かつ、把握している債権者各々に通知をし異議申し出の催告をしなければなりません。ただし、定款に公告方法として、日刊新聞紙または電子公告を定めている会社においては、官報公告を行い、かつ、定款で定めた公告を行うことによって、各債権者への通知を省略することができます。

  • ・剰余金を超える持分の払戻しの内容
  • ・債権者がその期間内に異議を申し出ることができる旨

期間内に債権者から異議がなかった場合は、債権者は払戻しを承認したものとみなされます。一方、異議があった場合は、当該持分払戻しをしても当該債権者を害するおそれがない場合を除いて、当該債権者に対して、債務を弁済するか相当の担保提供をする必要があります。

イ) 持分払戻し額が簿価純資産額を超える場合

この場合、合同会社は、2か月以上の期間、次の事項を官報で公告し、かつ、把握している債権者各々に通知をし異議申し出の催告をしなければなりません。ア)のように債権者への催告を省略することはできません。

  • ・剰余金を超える持分の払戻しの内容
  • ・債権者がその期間内に異議を申し出ることができる旨

期間内に債権者から異議がなかった場合は、債権者は払戻しを承認したものとみなされます。一方、異議があった場合は、当該持分払戻しをしても当該債権者を害するおそれがない場合であっても、必ず、当該債権者に対して、債務を弁済するか相当の担保提供をする必要があります。

⑤ 資本金の額の減少および債権者保護手続き

持分の払戻しにともない資本金の額が減少する場合は、資本金の額の減少により合同会社の債権者を害する可能性がありますので、債権者保護手続きが必要となります。さらに、この場合は、資本金の額の変更登記を行う必要があります。

資本金の額が減少する場合、合同会社は、1か月以上の期間、次の事項を官報で公告し、かつ、把握している債権者各々に通知をし異議申し出の催告をしなければなりません。ただし、定款に公告方法として、日刊新聞紙または電子公告を定めている会社においては、官報公告を行い、かつ、定款で定めた公告を行うことによって、債権者各々への通知を省略することができます。

  • ・資本金の額の減少の内容
  • ・債権者がその期間内に異議を申し出ることができる旨

期間内に債権者から異議がなかった場合は、債権者は資本金の減少を承認したものとみなされます。一方、異議があった場合は、当該資本金の減少をしても当該債権者を害するおそれがない場合を除いて、当該債権者に対して、債務を弁済するか相当の担保提供をする必要があります。 

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